慶應義塾大学病院 輸血・細胞療法センター

Center for Transfusion Medicine & Cell Therapy, Keio University Hospital

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輸血検査 Examinations for blood transfusion

輸血・細胞療法センターで輸血前に行っている検査を紹介します。

1) 血液型検査

赤血球膜上には350以上の赤血球抗原があり、それらに対応する抗体が存在すると凝集または溶血反応を引き起こします。ABO血液型では赤血球膜上にA抗原、血漿(血清)中に抗Bを持つものをA型、赤血球膜上にB抗原、血漿(血清)中に抗Aを持つものをB型、赤血球膜上にA抗原、B抗原、血漿(血清)中に抗体を持たないものをAB型、赤血球膜上に抗原を持たず、血漿(血清)中に抗A、抗Bを持つものをO型です。抗Aと抗Bは必ず規則的に持つため、規則抗体と呼ばれています。ABO血液型検査には赤血球膜上の抗原を検査するオモテ検査と血漿(血清)中の抗体を検査するウラ検査があります。オモテ検査とウラ検査の結果が一致して初めて血液型が確定になります。

オモテ検査 ウラ検査 総合判定
A抗原 B抗原 判定 A抗原 B抗原 判定
A A A
O O O
B B B
AB AB AB

2) 不規則抗体検査

ABO血液型以外の赤血球抗原に対する抗体を不規則抗体と呼びます。不規則抗体スクリーニング検査では、患者さんが不規則抗体を保有していないかどうかを調べています。不規則抗体の中には対応する抗原が陽性の赤血球と反応し、重篤な輸血副反応を引き起こすものがあるため、この検査が陽性になった場合には不規則抗体の同定を実施し、どの抗原に対する抗体を保有しているのかを検査します。抗体の種類が同定されれば、対応する抗原が陰性の赤血球製剤を日本赤十字社から取り寄せます。

3) 交差適合試験

交差適合試験は輸血を安全に実施するための検査です。患者さんの血液と輸血用血液製剤との反応性を調べます。この検査は患者さんに重篤な輸血副反応が起こらないことを確認する最後の砦となる検査です。この検査で合格になった輸血用血液製剤を正確に払い出ししています。払い出す際にはコンピュータシステムでの照合、患者さんに輸血する前には電子カルテで認証させることによって、患者間違いを未然に防いでいます。