ご挨拶
教授・センター長:山崎 理絵(やまざき りえ)
輸血・細胞療法センターでは、ISO15189認証およびI&A認定の下、専属の輸血検査技師(認定輸血検査技師9名を含む17名)が24時間365日の勤務体制で対応しています。造血幹細胞・臓器移植、心臓血管外科手術、新生児輸血、緊急・大量輸血、自己血輸血など、医療現場で発生するあらゆるニーズに対して、柔軟かつ適切な輸血医療を提供できる体制を整えています。さらに、日本輸血・細胞治療学会、厚生労働省血液対策課、日本赤十字社と緊密に連携し、最新の情報に基づいた適正輸血医療を実践しています。
細胞療法については、血液内科や小児科と連携し、日本骨髄バンク採取・移植施設認定のもとで、造血幹細胞の採取・処理・検査・保存体制を整備し、安全かつ確実な造血幹細胞移植を支援しています。
近年注目されているCAR-T細胞療法については、国内で使用可能なすべての製剤に対応可能であり、リンパ球採取から製剤管理・投与までを安全かつ適正に実施できる体制を構築しています。さらに、CAR-T製剤のみならず、近年相次いで登場している再生医療等製品(遺伝子治療製剤を含む)についても、当センターが一元的に管理を担っています。
また、臨床研究推進センターと連携し、慶應義塾大学病院細胞培養加工施設(KHCPC)を管理しています。これにより、学内の基礎研究を臨床につなげるべく、成分採血から細胞調製・処理、検査・保存管理までを包括的に支援しています。
当センターは、全診療部門を横断的に支援し、患者様に最先端の治療を迅速にお届けするとともに、基本となる輸血医療の安心・安全を確実に守り続けることを使命としています。
課長:深町 茂(ふかまち しげる)
当センターは2009年より、細胞療法部門を併設し、「輸血・細胞療法センター」となってから、早13年余りが経過しました。
血液製剤管理を基盤とした長い歴史と実績のある輸血業務に加え、細胞療法業務という新しい分野の参入と醸成によって輸血管理部門は更なる発展が期待されています。
医療は日進月歩といわれますが、昨今の細胞療法は飛躍的進歩を遂げ、最先端技術が導入されてきています。
まさに先進的医療の真っ只中でその一端を担うということにおいて責任の重さを感じています。
同時に輸血・細胞療法業務を通じて広く社会に貢献する機会を得たことによって、将来に繋がる堅実な業務が求められています。
そのため最高水準の技術が必要とされることは言うまでもありません。
当院の理念でもある『患者さん中心の医療』において、患者さんのためになる業務遂行を目指し日夜研鑽を積み、質の高い安全で正確な輸血・細胞療法が持続可能となるようにスタッフ一同尽力する所存でございます。
主任:五十嵐 靖浩(いがらし やすひろ)
輸血・細胞療法センターは臨床検査科、病理診断科とともに臨床検査室の国際基準であるISO15189を取得しております。
品質マネジメントシステムを構築、運用し、患者さんに優しく信頼される臨床検査、迅速で質の高い検査と情報の提供、大学病院としての高度な医療の貢献に努めています。輸血関連では輸血に必要な血液型検査や交差適合試験を実施し、輸血用血液の保管・管理を一元的に行っています。
輸血を待つ患者へ迅速で安全な輸血を供給する病院に欠かせない業務を担当しています。
細胞療法関連では末梢血幹細胞の保管・管理に加え、CAR-T療法に代表される細胞療法における患者さんの細胞を凍結処理や保管管理、細胞溶解を行っています。また、治験や臨床研究にも携わり、先進医療を支える部門としても重要な役割を果たしています。
輸血・細胞療法センターは医師と臨床検査技師がともに院内の輸血医療の安全と安全で適正な細胞療法を推進に貢献しております。
スタッフ紹介
医師
センター長・教授:山﨑 理絵
専門分野:血液内科学、造血幹細胞移植学、輸血・細胞治療学
所属学会・資格など:日本内科学会(認定医)、日本血液学会(専門医、指導医、評議員)、日本造血・免疫細胞療法学会(認定医、評議員)、日本輸血・細胞治療学会(認定医、評議員)、日本臨床検査医学会、日本血栓止血学会、日本再生医療学会、細胞療法認定管理師
助教:山口 健太郎
専門分野:血液内科学、悪性リンパ腫、造血幹細胞移植学、輸血・細胞治療学
所属学会・資格など:日本内科学会(認定医、指導医、総合内科専門医)、日本血液学会(専門医)、日本造血・免疫細胞療法学会、日本輸血・細胞治療学会、日本リンパ腫学会、日本癌学会、難病指定医、臨床研修指導医
前センター長・非常勤講師:田野崎 隆二
専門分野:輸血・細胞治療学、血液内科学、造血幹細胞移植学
所属学会・資格など:日本輸血・細胞治療学会(認定医、理事、細胞治療合同委員会委員長、関東甲信越支部理事)、日本造血・免疫細胞療法学会(認定医、評議員)、日本内科学会、日本血液学会、日本HTLV-1学会(評議員)、日本再生医療学会、米国血液学会ASH、米国輸血学会AABB、国際細胞治療学会ISCT、国際輸血学会ISBT
前々センター長・非常勤講師:半田 誠
専門分野:輸血学、血栓止血学、血液学
所属学会・資格など:日本輸血・細胞治療学会認定医、日本血液学会血液専門医、日本内科学会認定医
臨床検査技師
認定輸血検査技師 9名(2025年10月現在)、 細胞療法認定管理師 8名(2024年10月現在)
深町 茂(課長)、五十嵐 靖浩(主任)、松岡 牧(副主任)、桑原 靖子(副主任)、松橋 博子、鳥海 綾子、浅尾 裕美子、 黒田 留以、女ヶ沢 遥、清水 翔太、森 文香、斎藤 俊一、滝澤 輝弥、藤村 亮介、橋本 亮佑、小松 遼平、大野 真桜、福士 彩奈、高橋 久美子(事務)
その他
KHCPC管理
宮下 英之、萩原 吟重、佐矢野 智子(慶應義塾大学病院臨床研究推進センター)
試験検査室
涌井 昌俊(臨床検査科准教授)
慶應義塾大学病院 輸血・細胞療法センターの沿革
輸血用血液製剤
昭和31年 血液(輸血)製剤の管理検査を担当する「輸血センター」を病院内(別館)に設置したのが当センターのはじまりです。
初代室長は一般消化器外科教授島田信勝が兼任し、その後、心臓外科関川大司、一般消化器外科石井良治、中島哲夫らが引き継ぎました。実務は平野武道臨床検査技師の責任体制下に始まり、輸血需要の拡大と共に、院内採血および血液感染症検査や血漿交換業務を付加してまいりました。
| 昭和54年 | 池田康夫(血液内科)を専任医師として現在の輸血センターがスタート。 |
|---|---|
| 昭和62年 | 専任医師2名体制となり、造血幹細胞移植用の骨髄採取・処理・凍結保存を開始。 |
| 平成3年 | 池田が本学血液内科教授となり、半田誠(血液内科)が室長となる。造血幹細胞移植の細胞処理・検査用の細胞調製室を新設。自動血液成分採取装置を整備。 |
| 平成4年 | 自己血採血業務を開始。 |
| 平成8年 | 医学部5年生に臨床実習を開始。 輸血療法適正化委員会を設置。 |
| 平成10年 | 輸血検査自動機器を本邦で初めて導入。 |
| 平成12年 | 輸血業務24時間体制を開始し、専任臨床検査技師を10名に増員。 |
| 平成13年 | 平野が定年退任し、臨床検査技師責任者を上村知恵が引き継ぐ。 |
| 平成15年 | 細胞プロセッシング室(CPC)が設置され、試験物(樹状細胞等)の製造をGMP準拠環境下に開始した。輸血検査システムをオンライン化。 |
| 平成16年 | 輸血オーダーシステムをオンライン化。輸血・細胞療法部へ改称。 |
| 平成19年 | アルブミン製剤の一元管理(薬剤部より移管)を開始。 |
| 平成21年 | 中央臨床部門等のセンター化により、輸血・細胞療法センターへ改称。半田誠が輸血・細胞療法センター教授に就任。 |
| 平成26年 | ISO15189を取得。 |
| 平成28年 | 半田誠教授が定年退任し、半田の後任として田野崎隆二が着任。 |
| 平成30年 | 新病棟開院に伴い、1号館4階の輸血検査室、5階の自己血・成分採取室およびCPCに移転。 |
| 令和元年 | 細胞療法適正化委員会を設置。 |
| 令和2年 | キメラ抗原受容体T細胞(CAR-T細胞)療法「キムリア®点滴静注」(チサゲンレクルユーセル)用細胞採取を開始。 |
| 令和3年 | 上村が定年退任し、深町茂・五十嵐靖浩が引き継ぐ。 |
| 令和5年 | 日本輸血・治療学会 輸血機能評価認定制度(I&A制度)認証施設として認定。 |
| 令和7年 | 田野崎隆二教授が定年退任し、田野崎の後任として現教授:山崎理絵が着任。 |